古くから素朴で自然な風合いが親しまれてきた陶器「唐津焼」。
特に桃山時代末期から江戸時代初期にかけて作られたものは「古唐津」と呼ばれ、多くの人々を魅了してきました。中里太郎右衛門陶房は、桃山時代末期から420年以上にわたり、この唐津焼の伝統を連綿と受け継いできた窯元で、現在の窯主は十四代太郎右衛門です。

歴史:
 中里家の歴史は、1596年初代中里又七から始まります。江戸時代には唐津藩の御用窯「唐人町御茶盌窯」が開かれ、中里家はこちらで「献上唐津」と称される将軍家や高家への献上品を作るようになりました。しかし明治維新(1867年)後、唐津藩は廃藩となり、藩の庇護を失った唐津焼は衰退の時期を経験します。
 再びかつてのような勢いを見せるのは、昭和初期(1927年~)に十二代中里太郎右衛門のちの中里無庵(1885~1985)が古唐津の古窯跡を発掘・調査し、途絶えていた古唐津の技法を復活させてからです。十二代はその功績と技術が認められ、1976年に国の重要無形文化財(人間国宝)に認定されました。その後、高い芸術性で日本藝術院会員となった十三代中里逢庵(1993~2009)、そして十四代太郎右衛門(1957~)へと伝統の技術は伝えられ、さらにそれぞれの表現によって現代の新しい唐津焼が作られています。

陳列館:

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 唐津駅から徒歩10分、陶房の前は江戸時代の唐津藩御用窯にちなみ「御茶盌窯通り」と名付けられ、絵唐津の入った陶器のタイルが敷き詰められた道路になっています。白壁の塀から門を抜けると、校倉作りを思わせる2階建ての陳列館。入口前には11代中里天祐作の「達磨像」が訪れる人を歓迎するように鎮座しています。館内は窯元で焼かれた伝統的な茶道具から食器まで、様々な唐津焼が展示販売されている店舗です。また鯉が泳ぐ池を望む奥のギャラリーは、十三代、十四代の作品が展示されています。

御茶盌窯記念館:

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 2020年3月には、陶房前に「御茶盌窯記念館」が開館しました。十二代太郎右衛門の旧宅を活用し、天井の梁や柱などを再利用して改装された趣ある記念館には、中里家によって蒐集された古唐津や献上唐津、十一代天祐から十四代太郎右衛門まで歴代の作品が展示されていて、過去と現在、時代の中で移り変わってきた様々な唐津焼を、中里家にゆかりのある作品を通じて鑑賞する事ができます。食のイベントなど様々な集まりも開催されているこの記念館には、これからの唐津焼の新しい歩みを感じます。

【陳列館】
開館時間9:00-17:30 定休日:毎週水曜日、第1、第3、第5木曜日 (祝祭日の場合は翌日休)
※団体(10名以上)でお越しの方は事前にご予約下さい

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【国指定史跡「唐人町御茶盌窯」】江戸時代には唐津藩御用窯として、明治・大正期には中里家の窯として使用され、敷地内に保存されています。

【御茶盌窯記念館
入館料 400円(高校生以下無料)
開館時間 10:00-17:00(入館は16:30迄)
定休日 毎週水曜日、第1、第3、第5木曜日 (祝祭日の場合は翌日休)​